そして、二人は、準備完了となり、早速、バーチャルの桃源郷の中に入っていったのだ。
バーチャル空間の中に入っていくと、例の場所である、義男達の集まるルームに向かって行ったのだ。
果たして、そこには義男達の姿が確かにあったのだった。
「義男さ~~ん!!」
すぐにユミコが素っ頓狂な甘ったるい声を上げた。
其れほどまでに、昨日会ったばかりだというのに義男に会える今日のこの時を心待ちにしていたのだろう。
義男の方も男としてユミコほどの美女に慕われて勿論、悪い気などしなかった。
それどころか、男冥利に尽きていたのだ。
「あぁ、会いたかったぁ~~!!」
幸子も負けずにユミコを押しのけ義男に擦り寄っていった。
その際、あまり夢中であった為に、慌ててしまって思わずユミコの事を軽く突き飛ばしてしまったのだ。
「あ、痛~い!!」
「大丈夫かい!!」
痛がるユミコに対し、優しく義男が労わりの声をかけたのであった。
まあ、もっともバーチャルの中なので本当に痛いと言う事はなかったが、その様に感じてしまったと言う言い方が正しいのだろう。
アバターのお人形同士のやり合いではあったが、ここでは義男は歴としたお人形という体を持っていたのだ。
ますます女心としては義男を奪い合って独占欲に駆られる訳だったのだ。
しかし、ここで気をつけないとならないことがあるのだ。
それは、今ここに集まっている者達の中には、幸子にさんざん奢らされ騙され捨てられた男達がスットボケてアバターのお面をつけていけしゃあしゃあと参加していたことだった。
過去さんざん自分の都合で振り回し、また自分の都合で捨ててきた軍団がいつのまにか鼠講のように膨れ上がり、このバーチャル空間をアジトとし、屯しているという表現が正しかろう。
“あの女、今に見てろよ!目に物をいわせてやる!!”屯をしている全員がきっと本気でそう思っているに違いないのだ。
そして義男は気づけばユミコの人形に労わる様に寄り添っていたのだった。