人気女性アイドルグループBの事務所の上司から男性社員Aに、Bのメンバーの一人がさっき事務所に突然押しかけてきて興奮して様子が酷いから宥める為に今からすぐ駆けつけてくれとの連絡が入ってから、15分くらい経った時、男性社員Aは、事務所のすぐ手前まで来ていた。
その時だ。男性社員Aの目に突然凄い光景が飛び込んで来た。“おっ、何だあれは!事務所ビルの屋上から何か黒っぽい大きな塊みたいな物が落ちてくるぞ!”よく目を凝らしてみると“それ”は、長い黒い髪の毛のようなものをハタハタと靡かせ翻しながら操り人形の手足のような棒みたいなものを一瞬ピーンと大きく張らせてから、少しして突如、大きく屈曲させ、殆ど垂直に真っ逆さまに猛スピードで落ちていた。“おい、あれは一体なんだ!”自分の車を歩道の脇に止めて停車させてから男性社員Aは素早く車外に出た。
そして、さっき恐ろしい光景が目に付いた、ある黒っぽい塊が落下したと思われる地点目掛けて小走りをした。すると、ちょうどその辺りだと思われる地点に真っ赤な鮮血の太い筋がタラタラと流れているのがすぐに目に入って来た。“ああ、なんてこった!大変だぁ~~!!”
すぐにその傍に行くと、ある見慣れた物が目に飛び込んで来た。それは人気アイドルグループBの一番絵が上手で髪の毛が長い目がクリクリした明るい女性がよくいつも左手首に嵌めていた濃い紫の手首バンだ。“●△×!!●△×!!いったいどうして!!おおぉ~!!”その後男性社員Aは、何度も名前を呼びながら可愛そうに、可愛そうにと言いながら大声で泣いていた。
“それ”は、どう見ても人の遺体だった。しかも、間違いなく、それは同じ事務所の顔見知りの人気アイドルタレントの一人だった。手を握り締めて脈を確かめたが、当然のことながら既に絶命していた。そして、男性社員Aは、すぐに事務所の階までビルを駆け上がり、毛布を持ち出すと顔見知りの可愛そうな亡骸の上に掛けてやったのだった。
それは、ちょうど2月9日の11時16分頃のことだった。