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平成19年11月2日作成
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涼は、一人部屋で幸子のことを恨みながら、さめざめと泣いていたのだった。

涙が、ポロリ、ポロリと、いく筋も止め処なく頬を伝い気づけば枕は涙と泣いた為に流れ落ちてしまった鼻水とでグチャグチャになっていたのだ。

そのドロドロに湿った枕の上でさらにまた泣いていたのだった。

「ひどいっすよぉ、俺まだ何もないっす・・・・、あれだけ奢って、なんなんすかいったい!ひどいっす」

とか何とかずっと一人泣きながら、心の中で呪縛のように唱えていたのだ。

気づけば自分の部屋の隅に置いてあるトレーニング用鉄アレイを手に取り、壁スレスレのとこまで思いっきり空パンチを送ったのだった。

するといくらかスカッとした気分になったのだった。

この時、涼の心は既に夜叉に変化していた。

目は異様にギラギラとみえない敵に挑むかのように燃え上がり、朦朧と荒んだエナジーを周囲に放っていた。

誰も涼の心を癒すことなどできなかったのだ。

「このままじゃ、すまないっすよぉ」

涼は一人部屋で恨めしそうに天井を見上げながらそう呟くと、また一人、湿った枕に顔を埋めしゃくり上げ出したのだった。

それは切がなく、いつまでも延々と続くかのようにみえた。

そうこうしているうちに、また、月日が流れたのだ。

そうしている間に幸子は何も伝言ダイヤルの女性だけと付き合っていたわけではなかった。

相変わらず、花から花へ舞う蝶のようにテレクラやツーショット伝言ダイヤルでとっかえひっかえパートナーを変えていたのだった。

そして、その度、新しく出会ったパートナーに大好きなチョコレートボンボンのおねだりを必ずしていたのだった。

ある日に伝言ダイヤルの女性と新宿の喫茶店でまた待ち合わせをしていたら、そこへ数名の男性のグループが現れた。

それは、まるで申し合わせたかのように現れたようにも見えたのだった。

すると、その中の誰かが知り合いらしく、幸子は妙な反応を示して見せたのだった。

何かに気づいたようにクスクスと笑いを堪える感じが見て取られたのだった。

そして、勢いよくそのグループが座った隣の席のほうへ振り返ると、

「ゴディバ、家に送って下さいね!!よろしくお願いします」

と明るく元気よく声をかけたのだった。

 

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