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平成19年11月2日作成
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最判平成22年7月22日(道路交通法違反被告事件に係る略式命令に対する非常上告事件)
事案
被告人は道路交通法違反で略式命令を受けたが,被告人に対しては,道路交通法130条により,同法127条の通告をし,同法128条の納付期間が経過した後でなければ公訴を提起することができないものであった。しかし,甲府区検察庁検察官事務取扱検察事務官が上記の反則行為に関する処理手続を経由しないまま公訴を提起しており,甲府簡易裁判所としては,刑訴法463条1項,338条4号により公訴棄却の判決をすべきであったものである。この場合において,被告人が略式命令確定後に本邦を出国し非常上告申立て時において再入国していないとしても,検事総長は最高裁判所に非常上告をすることができるかが争点となった。

判示
「被告人は,原略式命令確定後に本邦を出国し非常上告申立て時において再入国していないことが認められるが,非常上告制度の目的等に照らすと,このような場合においても,検事総長は最高裁判所に非常上告をすることができる。」

名古屋地判平成22年7月13日(接見交通権侵害訴訟)
事案
道路交通法違反被疑事件で勾留された被疑者の弁護人に選任された弁護士Aが接見を申し出たところ,B検察事務官(以下「本件事務官」という。)は,午後零時ころ,本件被疑者との接見のために本件検察庁を訪れた原告に対し,本件検察庁の内規である「弁護人接見室運用要領」(以下「運用要領」という。)を示しながら,「検察庁内の接見室は午前11時50分から12時50分までは使用できません。」などと述べ,原告と本件被疑者との接見を断った(以下「本件措置」という。)。なお,運用要領には,接見室の「運用時間」として「午前10時から午前11時50分までの間と午後零時50分から午後5時までの間(午前11時50分から午後零時50分までの間は,被疑者及び護送勤務員の昼食のため,接見室の運用を休止する。)」などと記載されていたが,同記載は,本件検察庁の庁舎管理権に基づいて一応の目安としての運用時間及び休止時間を定めたものにすぎず,現実には,昼食時間であっても接見室を使用して接見を行わせる場合もあるという形で柔軟に運用されていた。
そこで,Aが本件措置の違法を主張して,国家賠償請求をした事案である。

判示
「検察官,検察事務官又は司法警察職員は,捜査のため必要があるときを除き,弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者から被疑者との接見又は書類若しくは物の授受の申出があったときは,原則としていつでも接見等の機会を与えなければならないとされているところ(刑事訴訟法39条1項,3項),本件では,前記1のとおり,本件事務官は,すでに本件被疑者の取調べが終了していたにもかかわらず,本件検察庁の接見室は午前11時50分から午後零時50分までは利用できないなど述べて,原告と本件被疑者との即時の接見を拒んだものである。
したがって,原告は,何ら正当な理由なく本件被疑者との接見を拒否されたというべきであり,本件措置は,国家賠償法上違法というほかない。」

最判平成22年4月5日(名張毒ぶどう酒殺人事件再審決定)
事案
Xは,妻A子及びB子とのいわゆる三角関係の処置に窮した末,両名を殺害してその関係を一挙に清算すればすべてがすっきりするなどと考え,懇親会の機会に,ぶどう酒に農薬ニッカリンTを混入したうえで出席者に提供し,本件ぶどう酒を飲んだA子及びB子を含む5名を殺害したほか,12名には有機燐中毒症の傷害を負わせた嫌疑で起訴され、有罪判決を受けた。これに対し、再審開始および死刑執行停止を求めたところ、原決定がこれを棄却したため、特別抗告をした事案である。
その中で、本件事件で用いられた毒物がXの所持していたニッカリンTではないこと,ニッカリンTを犯行に使ったとするXの自白が信用できないことを立証しようとして提出された鑑定書等(その内容は、犯行に使用された毒物には,トリエチルピロホスフェートが含まれていないことを明らかにし,本件毒物が同物質を含むニッカリンTでなく,同物質を含まない別の有機燐テップ製剤であった疑いがあるというもの)が、再審事由である「無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したとき」(435(6))に当たるか否かについて,職権により判断された。

判示
「原決定が,本件毒物はニッカリンTであり,トリエチルピロホスフェートもその成分として含まれていたけれども,三重県衛生研究所の試験によっては,それを検出することができなかったと考えることも十分に可能であると判断したのは,科学的知見に基づく検討をしたとはいえず,その推論過程に誤りがある疑いがあり,いまだ事実は解明されていないのであって,審理が尽くされているとはいえない。これが原決定に影響を及ぼすことは明らかであり,原決定を取り消さなければ著しく正義に反するものと認められる。」
「よって,刑訴法411条1号,434条,426条2項により,原決定を取り消し,更に上記の点について審理を尽くさせるため,本件を名古屋高等裁判所に差し戻すこととする。」
 

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