幸子が開けた扉(ドアー)から、哲史が幸子の自室に飛び込んできた。
まさに、その表現がピッタリだった。
中に入ってくると哲史はイキナリ第一声!!
「おう!どうやら俺の言ったとおりになったらしいな!!幸子、おまえも原因不明の体調不良になっただろうよ!!!」
と息巻いたのだった。
幸子がすかさずこう答えた。
「どうして、それを知っているんですか?」
「あぁ、部屋を見ればわかるぜ、苦しくて暴れたんだろう!!俺もそうだったからな!!!」
確かに、今現在、幸子の部屋は幸子がユミコの邪悪な‘死の呪い’によって、急に息苦しくなり、もがき喘いだ末に、デスクの上を爪で手当たり次第に引っ掻き回した為に、デスクの上にあった書類やノートや文具類が床一面に飛び散り、乱雑していたのだった。
この惨状を見れば誰しも何かとてつもない恐ろしい事があったと想像するはずだった。
「でも、無事でよかったね」
やっと少し遅れて義男が会話に入ってきた。
「おぉ、お前もいたのか、お前もあいつの呪いのせいで、そんな姿になったんだろう?!よう・・」
いつものチョッピリ不良っぽく、疑り深い目つきで哲史がそう義男に問いかけると、義男はいつもと変わらず冷静に諭すようにこう答えたのだった。
「確かに僕も彼女の力の凄さを見縊っていたようだよ、何しろ魔方陣の結界を破ってしまったのだからね、こうなるともう僕の能力では限界だよ」
「それはどういう意味だ!」
「それは、つまり・・」
一旦、会話を止めてから、半透明の上半身姿の義男が、ユックリと深く息を吸い込むような仕草をした。
今となっては、15人とそれプラスのメンバーの中でもっとも冷静で、知的な義男に頼る以外は、もはや成す術もないのだ。
なので、哲史も幸子も真剣な面持ちで義男の次の発言を待ち構えていた。
「それは、つまりね、想像を絶する恐ろしい呪いの力がユミコ君に備わっていると言う事なのだよ、だからその呪いに打ち勝つには生半端な考えでは無理だと言う事なのだよ」
「じゃあ、一体、どうすりゃあ、いいんだ!このままじゃ俺たちみんなユミコの呪いにヤラレチマウゼ!」