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平成19年11月2日作成
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そして、ここで、絶対に忘れてはいけない事がある。

それは、義男に恋焦がれているのは、幸子とユミコの二人だけではないと言うことだ。

そうだ、幸子がユミコによってかけられてしまった死の呪いの魔術から身を守るために義男から授かった‘愛しい者’だって、義男が“僕の彼女だよ”と言っていたくらいなのだから、義男に恋焦がれているのに違いなかった。

だから、こうして義男に指示されて自分が守らなくてはいけない相手であっても、あからさまに自分の愛する男性を恋しているのを見せつけられて嬉しい筈もないのだ。

もしそういう嫉妬の念をコントロールできているとしたら、それほど義男の魔術はレベルと完成度の高いものなのだろう。

だが、魔術を超えた熱い血潮を呼び覚ますような鼓動が今まさに幸子の心臓を早鐘のように鳴らし始めていたのだった。

いつもより、確かに左にある心臓がザワザワとしていた。

やはり、‘愛しい者’は自分の意思を持っていたのだ。

それも、とても強いエネルギーを撒き散らすほどのパワーだった。

愛する男性の命令どおりに幸子の体内に宿っては見たもののユミコの恐ろしい邪悪な死の呪いから守ってやろうというのに、肝心の守るべき相手幸子は守って下さる相手の愛する男を目の前で平気で奪おうとしている始末なのだから。

真に女という生き物は生まれつき業の深い、罪深い穢れたものなのか。

その為に、幸子のことを守ろうとする為に義男が幸子にかけた術の境界線が今、音を立てて崩れ去ろうとしていたのだ。

完全に今、‘愛しい者’は、義男の指令より自分の意思を最優先していたのだ。

幸子の心臓がバクバクと音を立てだした。

「あぁ、私、なんか変だわ!心臓から何かが出入りしているのよ!!」

「ええ、なんですって!それは大変だわ!!」

「これから、例の場所に行かないとならないのに何だか苦しいのよ!」

「無理しないほうがいいわ!もう少ししてからでも行こうと思えば行けるしね!」

幸子とユミコは既にパソコンの前にいたが、まだ、ご覧の通りとてもログインが出来る状態ではなかったのだ。

 
 


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