路地の曲がり角をスタスタと幸子が進んでいった。
そして、ある地点まで進むとピタッと止まった。
その地点から幸子が振り向いた先には、何やら店のようなものがあった。
その店は内部から煌々と明かりを発していた。
「この中に入りましょう」
ニッコリと幸子が涼のほうに向き直って微笑んだのだった。
「なんすか?ここは?」
それには答えずスタスタとまた幸子が店の中に入っていった。
店に並べてあるものをみるとどうやら大人のおもちゃのようなものを取り扱っている店だということにすぐ涼は気づいたのだった。
幸子は店の商品棚の一番表通りに近い場所に羅列してある雑誌類を何冊か手にとって眺めていた。
―それは、驚異的な瞬間だった。ま、まさかとこの時、涼は想ったのだった。―
その雑誌類の表紙にはセミヌードやピチピチのビキニパンツ一枚の少年の写真が載せられていた。
そして表紙のその少年はまるで媚を売るような視線だったり、俯き加減で他の少年と戯れ絡んでいたり、または、大人の女性ではなく男性と見詰め合ったり、絡んでいたのだ。
これは何かの間違いではないか・・・w
一瞬、寒気がゾクゾクと涼の背筋に走ったのだった。
青ざめている涼にやっとその時気づいた幸子が振り向いてこういってきた。
「驚いちゃったんですね」
幸子はそういう間も始終ニコニコしていた。
そもそも幸子という女は、常に微笑んでいる習性があったのだ。
それは、そういう性質だったといえばそれで終わってしまうことだったが。
「幸子さん、これは一体!?」
「モーホーの本です、私、モーホーの雑誌見るの好きなんです、おかしいですか?」
真顔でそう答える幸子に対して涼は何も言い返すことができずただ呆然とその場に立ち尽くすだけだった。
その時、相変わらず深夜過ぎの都会はキラキラと明るく、眠らない街らしく、まだ、人通りも多かった。
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