それは、突然の衝撃的な事実だった。
涼はその場に呆然と立ち竦み・・・・しばらく声を失っていた。
そ、そんな・・・・お嬢様のイメージとは随分違うなぁ。
まさか幸子さんがこんなエゲツナイ雑誌を読むことが趣味だったとは・・・・
そんな想いが涼の頭の中を走馬灯のように駆け巡ったのは無理もない。
ガックリと肩を落とした涼に向かって、幸子は、
「これから、あなたの部屋に飲みに行きます」
と突然、突拍子もないことを言い出したのだった。
しかし、今の心理状態だととてもではないが部屋に招く気にはなれなかった。
その上、涼の部屋は掃除がされておらず乱雑だったのでそれを幸子に見られるのも嫌なことだったから。
それに、女の方からいきなり、男の部屋へ上がりたいなんてちょっと女として嗜みに欠けるのではないかとも感じたのだった。
この時点で幸子は付き合っている男は涼だけではなかった。
他にも数名男がいたのだった。
これらすべて、例のごとく巷の出会い系やツーショットでひっかけた男達であったのだ。
従って、このように誘ったのはもちろん涼だけではなかった。
他の男達にも同じだったのだ。
ただそれは、それぞれには分からなかっただけだった。
しかし、幸子にあのように言われ、とりあえず拒否はしたものの男としてそう言われて本心から嫌な気持ちになるものはいないはずだ。
据え膳食わぬは男の恥というし。
涼もそうであった。
なので、すぐに部屋に招く気にはなれないものの少し気分が舞い上がった状態になったのは否めなかった。
だが、あの汚い部屋に連れて行けるわけもない。
「ちょっと俺、今部屋汚いので・・・・・また、今度でいいっすか?」
「そうですか、残念ですね」
そういいながら幸子の右手は涼の左腕を掴んでいたのだった。
男として涼はとてもゾクゾクした気持ちになったのだった。