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平成19年11月2日作成
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それからの経緯はこうだった。

涼の意見通り車が近くの道路脇に止まると、涼が車のドアーを手で押し開けたのだった。

すると

「私も今日は一緒に帰ります」

と予定外の行動を幸子がとったのだった。

「ええ、でも悪くないっすか」―涼は、すっかりいつもの調子に戻っていた―

結局二人とも車の外に降りてしまった。

そして経営者の紳士も降りてきた。

「君たちが、どういう仲かは私は知らない、だけど構わないよ、一緒に帰りたいなら帰りなさい」

と今にも立ち去ろうとする涼と幸子の方を向いてサッパリとした温厚な口ぶりで紳士は話しかけてきた。

その時、涼はとても良い人だなと経営者の紳士のことを思ったのだった。

歩きながら、涼は幸子にこういった。

「なぜっすか?なぜいかなったんすか?機嫌悪くならないっすか?」

「急に用を思い出したんです、今からいくのでそれじゃ・・・w」

え、それじゃって・・・そう想っているうちに幸子は小走りに走り去っていった。

いったい、どこへ行くというのだろう。

彼女のことだから行く当てはたくさんあるのだろうけれど。

でも、この状況だと今頃さっきの紳士は今も幸子さんは自分と一緒にいると思っているだろうなと涼は少し不快な気分になった、そして一抹の不安も湧いてきた。

それは、疑われて謂れのない嫉妬を受けたらどうしようということも含まれていた。

幸子と会いたくなればまたこちらからかければいいし、だけれど『また今度』と会話をせずイキナリ右と左に別れたのは多分、今回が初めてだと思う。

なので、一緒に経営者の家に遊びに行かなかったので嫌われてしまったのではないかという不安も沸いたのは確かだ。

そうこう考えを巡らせているうちに霰はよりいっそう激しさを増してきだした。

「とにかく、帰るか・・・」

と涼は一人、ボソッと呟くと駅のほうへと足を向けた。


 

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