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平成19年11月2日作成
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そのお金を貸した女性の実家は毛糸屋の自営業だったので、それくらのお金の蓄えはあったらしいのだ。

娘のためなら、そこまでもする母親であったが、肝心のあの不憫な孫娘に対しては、自分の娘をキャバレーで働かせたあの男の汚らわしい血が流れているから嫌いだということでその不憫な子供は施設に入ることになってしまったのだった。

そう、そのお金を貸した友達は旦那が稼ぎが悪いためにキャバレーで夜、働かされていたのだった。

それも哀れだが、それ以上に本当に哀れ千万な子供だった。

今でもそのことは、とても気の毒に思い起こされる。

そして、今でも断言できる、おそらく、その子供は将来ものすごく不幸になると。

そして話は本題に戻るが、結局のところ、最初から幸子と伝言ダイヤルで知り合った女性の出会いは失意の連続だったかもしれない。

そのことを強く感じたのは、何度目かに都内の某喫茶店で待ち合わせた時、幸子が先に着いて待っていて本を読みながら、その伝言ダイヤルで知り合った女性のことを待っていた時のことだった。

幸子が喫茶店のテーブルの上で広げていた本は新宿の図書館で借りたものだった。

写真ページ部分を開いており、その写真画像が少し後から待ち合わせ場所につき席についた伝言ダイヤルで知り合った女性の眼中にもろに飛び込んで来たのだ。

そして、またしても、その伝言ダイヤルで知り合った女性はその時、突如、こみ上げて来るような恐怖や脅威にも似た思いに駆られたのだった。

目に飛び込んで来たその画像の内容は、な、なんと首なしの人間の胴体の輪切りの断面図だったのだ。

その他にもその画像の周りには、体中とか口の中から蛆みたいのが沢山湧いているような画像もあったのだった。

女性は一瞬、不快になり、呆然としてしまったが、このままじゃいけない、何か話さないとと次第に焦り、その場の湿った鈍よりとした空気を一括するように、勇気を奮い起こして、第一声を挙げたのだ。

「すみません!お待たせしちゃってw」

「いいえ、私が早く着すぎただけですから、平気です」

と少し慌てるその女性に対して、幸子はいたって冷静だった。

そして、その時、伝言ダイヤルの女性(これからはこういわせてもらうことにする)は、私があげた図書券は使ってないのかなぁ、その本って図書館のマークあるしなぁ、などと思っていたのだった。

「しかし、すごいの読んでますねぇ」

何となく聞きづらかったが、興味を抑えきれなくなり、とうとう伝言ダイヤルの女性が幸子に尋ねたのだった。

「そうです、人間の胴体の輪切りの断面図です、お馬鹿な人じゃ読んでも解らない本ですよ」

とすぐさま幸子が皮肉とも受け取れるような嘲るような冷たい口ぶりでそう返答してきたのだった。

 

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