雑誌を買い終えると、それからは、すぐ幸子の方から“飲みに行きましょう”という話になり、二人は、新宿の居酒屋に行くことになった。
ご存知の通り新宿には無数の居酒屋やバーやスナックなどの飲み屋がある、もちろんクラブの数も数え切れない。
新宿の飲み屋関係の店の数はまさしく星の数だといってもいいだろう。
その頃も、そして今もそうだろうが、新宿の街は眠らない街として全国からも有名で深夜になってもネオンがギラギラと無数に煌いていた。
私は、横浜のほうに住んでいたことがあるが、その頃に若さを武器にして接客業などのバイトをしていたのだ。
なので、そういう関係である店のNO.1だった女性のマンションに遊びに行ったことがあったが、その時にそのNO.1のコンパニオンの人からこういう話を聞いたのだ。
「男の人にプレゼントをさせるコツは、まず買い癖をつけさせること」
とそのコンパニオンはいっていたのだ。
もちろん生まれついての器量もあるだろうから、同じ行動をタイプが違うものがやっても無理だろうとは思うが。
やはり、物事はなにをするにも事前に見極めが肝心だと思われる。
場違いなことや実力にそぐわない事を行動したり、欲しがると、とんでもないしっぺ返しが来たりするものだから。
さて、そのコンパニオンはそういっていたが、幸子の場合はそれとも少し違っていた。
幸子のほうが強制的にこれ買ってとかあれ買ってと、しつこく言ってきたりはまずなかった。
自然にそういう経緯になっていたのだ。
もちろん、喫茶店から、飲み代金から、雑誌等、書籍類やゲームなどすべて伝言ダイヤルの女性は支払っていたのだ。
それはあの経営者の紳士や、涼もまったく同じだった。
自分の趣味や欲しいものに関しては幸子の供述はほとんど変わっていないと思うが、ハッキリと確認した訳ではないが、名前はそれぞれに違う名前を言っていたかもしれないが。
涼には妹の話はしていなかったが、幸子は伝言ダイヤルの女性には妹の話もしていた。
よく泊りがけで田舎から遊びに来るとも話していた。
沢山いる知り合いのそれぞれに少しづつ違う供述をしているのはまず間違いなかったのだ。
―気づけば、幸子と伝言ダイヤル女性は居酒屋の椅子に腰掛けていた。―