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平成19年11月2日作成
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落胆

涼の復讐の行動とは、まずは同じ志の仲間を集めることだった。

実は涼がこれほど落ち込んで失意の念に駆られながら幸子を恨むようになったのは、電話が繋がらなくなっただけが原因ではなかったのだ。

涼が勤務するIT関連の会社で、つい最近、幸子のことを知っているという他の男性社員が数名、現れだしたのもここまで気分が落ち込んでしまった大きな原因の一つだった。

幸子ほどの人物だから、自分だけではないのはあの経営者の紳士とも鉢合わせになったことがあるし気づいてはいたが、その幸子の他の相手が同じ会社にいるのだとしたら話はやはり別だ。

ひどく心が傷つきプライドが粉々になるのは避けようがなかった。

まるでその精神状態は音を立てて崩れ落ちていく積み木の城のようであった。

―またさっきの高級ビジネスホテルに話を戻そう―

幸子は今宵のパートナーが自分の話しに熱心に聞き入り態度もとても従順で、話し込むほど目をキラキラと輝かせ、興味津々という様子に、大変満足気だった。

幸子のプライドが満たされたのと同時に教え導くことが順調に進んでいるという事実がとても喜ばしかったのだ。

それは幸子の今までの長きに渡るその分野に関する研究と自己開発によって得た自信の賜物とも言えた。

一人のその方面に関しての―ここでは、ホモとか同性愛者のことに関することだが―まったくの無垢な女性を自分の思想のカラーに少しづつ染めていく、そんなことに幸子は無償の喜びを感じていたのだった。

その女性はなるべく幸子の話をもっと沢山聞いて話を吸収したいと思ったがそれほど得意ではない酒をしこたま幸子に勧められるままに一気に飲んだものだから急に酔いが回りバテてきたのだった。

なので、それ以上、寝ないで幸子の話し相手をするのは難しくなったのだ。

「まあ、眠いんですね、無理しないで下さいね」

今にも上瞼と下瞼がくっつきそうなパートナー女性に対して幸子はそう優しく促したのだった。

うつらうつらと目がトロ~ンとしてきたので、とうとうパートナー女性は匙を投げたのだ。

「それではお言葉に甘えて遠慮なく!」

そう断りを入れると、すぐにベッドの布団の中に潜り込んでしまったのだ。

幸子は夜はすごく強い性質だったので、まだそれほど眠くなかったが、缶ビールを全部飲み終わるとすることが無くなってしまい、とうとう寝ることにしたのだ。

布団の中で背中を丸めてヤドカリのようなポーズで寝るパートナー女性に対してその背中を見つめる様な形で薄目を開けたままの状態で布団に入ったのだった。
 
 


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