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平成19年11月2日作成
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幸子は別に用途別に出会い系で知り合うもの達を使い分けていた訳ではなかった。

花から花へ舞う蝶のように色んな人種の者達と知り合い、自然に惹き合い、また少しでも嫌と感じればすぐ離れる・・・そんな出会いが殆どだった。

ただ、奢って貰うのが好きなので、ある程度お金を持っている相手とだけは決めていたらしい。

なので、また映画を見に行く時はこの間渋谷で映画をみた伝言ダイヤル女性Aと行こうと最初から決めていたわけでもなかった。

ただ、なんとなく映画を見たいと思った時にそう言えばまたあの人誘おうかしらみたいになっただけだと思うのだ。

今となっては本当にそう思うのだ。

久々に伝言ダイヤル女性Aが映画に誘われた場所は銀座であった。

その映画はタイトルはちょっと忘れてしまったが、内容は集団自殺の映画であった。

相変わらず連発する幸子の残酷趣味に、少し嗚咽がでそうな状態に伝言ダイヤル女性Aはなっていたのだ。

少なくとも溜息は自然に溢れてきていた。

伝言女性Aは銀座の映画館で映画を観ながら思ったのだ。

“私のことが嫌いで自分から離れて行かそうとしてこんな映画に誘うんだったら、最初から誘わないでくれたらいいのに”

とさえまで考えたのだった。

現に伝言ダイヤル女性Aは幸子の電話に電話をしても本人が出ないと留守電にもメッセージを入れないですぐに電話を切っていたのだから。

それくらい礼儀は弁えていたつもりだったのだ。

「あら、すごいわ、これからがみものね」

そんなことをいいながら幸子は次々と映画の画面上で自殺によって命を絶っていく様々な人種達を見てそれは楽しげにほくそ笑んでいたのだった。

伝言ダイヤル女性Aはその残酷極まりない映画の中で、幼子が縄跳びの縄を木の枝に括り付けて首を吊って自殺するシーンを脅威の眼でジッと見入っていたのだった。

その他にも男の子の大事な部分を割礼するシーンもあったりとにかくこの間の映画に負けないくらいの残酷シーンの連続だったのだ。

とにかくヒタスラ人が次々と自殺をしていった映画だったのを覚えている。

そして、その映画館にいる時ふと伝言女性Aは、前に新宿の紀伊国屋書店の別館に行った時、幸子が一つだけちょっと怖いタイトルの本を買っていたのを思い出したのだ。

その雑誌のタイトルは確か「死について」だった。

 

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