しかし、さっきの話だが馬鹿と言われて嬉しい者がいるはずはまずない。
なので、伝言ダイヤル女性Aもこれ程よくしてあげているというのに本当に失礼だと思ったのだ。
そして、心の奥底から深く傷ついたのだった。
こういう風にいつのまにか恨みを少しづつ周囲から知らぬ間に受けていたのは間違いなかった。
涼などはもう幸子に対して必ず復讐をしてやるという域にまで恨みがエスカレートしていたのだった。
一人、また一人と幸子の暴言や突然、背を向ける冷たさにショックや恨みを感じるものが眠らない街、新宿に増えていったのは事実だった。
またここで詳しく説明をすると幸子は主に女性と付き合うときは年上とも年下とも付き合ったが、大多数が金持ちを選んでいた。
もっとわかりやすくいうと仕事の業種は何でもいいから羽振りのいい女性を狙っていたというのが正解だろう。
そういう意味で幸子の女性の知り合いは接客業の女性がとても多かったのだ。
風俗嬢だって平気だった。
それらの女性達と付き合うことによって結果的に自分に何らかのメリットがあれば良いという考えだったのだ。
これはあからさまな利用目的だとハッキリわかるのだ。
幸子にとってのメリットは前にもお話したが、将来小説家を夢見る幸子の為に図書券をプレゼントしてくれたり成功するまでの貧しさを支えるように援助をしてくれる支援金を与えてもらうことだった。
また男性を選ぶ時もこれとまったく似ていたが、ある程度の年齢が着たらその中から結婚相手を選ぼうと最初からきちんと考えていたのだ。
つまり自分は真性のレズで、ネコというのはまったくのデタラメであり、詐欺だったと思うのだ。
これほどまでに人を欺き傷つけても彼女がまだ一部の人間には非常に人気があったり好感を持たれているのはきっとまだその本性に気づいていないからだと思うのだ。
また一度、気づけばそこからは、また新たな恨みや憎しみの輪が生まれるのも間違いなかったのだ。
現に今日では、毎日のように幸子のことを恨み、涼のように彼女への復讐だけに思いを走らせ生きている者達も悲しいことだが異様に増えてきていることは周知の事実なのだ。
涼もそうだったが同じような不幸体験を持つ仲間で固まり強力な復讐チームを作っていく、そんな活動をマジにしている若者が毎日のように、また一人、一人と増えていっているのは間違いあるまい。
新宿が幸子に対する呪いや恨みで蔓延しだしてきたのはそんなに遠い昔の話ではないのだ。