「おい、それはいったいどこのことだ?!早く教えろよ!」
と少し短気な哲史が急かすと、義男は今日、新宿のマクドナルドのランチ時に集まった15人のメンバー全員の前で閉じ込める場所についての説明を始めたのだった。
「それは、最近、僕が発見した場所なんだけどね、ネットから入っていけるんだよ」
「ほほう!」
数名が感心したように感嘆の声を挙げた。
この中で一番気の短い哲史だけは疑り深い目つきで義男のことをジッと睨んでいた。
虫が好かないという奴だろうか?
義男がいう閉じ込める場所とは、簡単に言えば、今、流行のバーチャル空間のことだった。
実はこのバーチャル空間の中でリアルと殆ど同じように生活ができる場所があるのだそうだ。
そこへさっきいった人物たちを追いやったらどうだという意見だった。
「でもどうやって閉じ込めるんだ、ネットの中に、俺らがその場所を説明したって俺らが待っているって分かったら絶対に来ないぜ。」
一人がそう反論したが、義男はそれに対して取り乱すこともなく冷静沈着にこう答えた。
「大丈夫、そこは自分の顔をみせないで色んなタイプに変身できるんだ、どうにか誘い込めさえすれば、あとは何とかなるよ」
「でも、その誘い込み方がわからねぇよ!」
一人がそういうと皆、口々に“そうだよなぁ”とか言い出したのだった。
「現代は殆どの人がネットをやっているんだ、だから、その人たちが目に付きそうな場所にそこのバーチャル空間の宣伝を絶えずすればいいんだよ、そうすれば必ずやってくる!」
「本当かよ!」
「くだらねぇ、そんな簡単に、うまくいく訳ねぇよ」
反論が次第に増えていった、すると義男は
「だから仲間を増やすんだよ、そのこバーチャルの宣伝を活発にしてくれる仲間を一人でも多く増やすんだよ」
義男は確固たる自信がある感じで強くそう言ったのだった。
「幸子にだまされたのは僕らだけではないはず、宣伝業界にも沢山いると思うよ、だから説得すればみんな動くと思うんだ」