義男は、さらに懇々と話し出した。
「そして、一度誘い込んだら、後は・・・」
そういいかけた時だった。
哲史がイキナリ話題に割り込んできたのだ。
「わかってらぁ!そん時は俺に任せろ、一度その蜘蛛の巣に入ってきたら最後、俺の仲間みんなで、そいつらを見張って二度と出れないようにしてやるぜぇ!!」
と勢いよく捲くし立てて来たのだった。
すると他の男たちも皆口々に
「そうか、そういうことか、それなら俺らにもできるなぁ」
「ようし、閉じ込めてやる」
「その中に誘い込んだら姿を隠しながら、そいつらに俺らに対する礼儀作法をタップリ教え込んでやる」
“そいつらに”といった者がいた。
確かに幸子だけではない言い方だ。
もちろん、それはそうだ。
男を騙して手玉に取るような女性は狭いようで広い都内では、何も幸子だけではないのだから。
ここに集まったのは幸子に騙された男達ではあったが幸子以外でも噂がある人物や目ぼしい悪女を次々と義男が話すバーチャル空間に閉じ込めてやるという意気込みが皆の様子から手に取るように感じられた。
「閉じ込めるにはそこに行くしか楽しみがねぇようにそいつらの家に盗聴器を仕掛けてノイローゼにして、そこで話すしか楽しみがないようにしねぇとなぁ」
「すげぇ、お前頭いいなぁ」
などと仲間で言い合っているうちに、スッカリ話が途切れてしまったが、また続けて義男が話し出した。
「そうだね、そうしたら効果的だね。」
そしてさらにまた話し出したのだ。
「誘い込んだら、そこで僕はあることをしようと思っているんだよ、それはちょっと特殊なことだけど、きっと、それをすることによってその人たちも生まれ変わる可能性があるからね」
哲史がまたものすごい目つきで義男を睨んだ、どうもいけ好かないといった感じだ。
「おめぇ、何かちょっと変わっているよなぁ、時々とてつもなく可笑しなこといいやがる」