あと3日後に大好きな温泉旅行に行くというのに、幸子は夜も寝ないでそのバーチャル空間の中をどこまでも果てしなく彷徨っていたのだった。
最初の一日目など、まさに一睡もしなかったと言っても過言ではなかったのだ。
それほどまでに、この仮想空間の虜になってしまったのだ。
決して温泉が嫌になった訳ではなかったが、温泉に行く時間も、もったいないと思うくらい気づけばこの仮想空間の虜になっていたのだ。
しかし、だからといって、温泉に行くのを中止にするつもりも毛頭なかったが。
幸子に未練がある者や噂を聞きつけて興味を持った者達は皆、最近、幸子が男より女ばかりと遊ぶのを面白くないと感じていたのだった。
なので、出来れば、義男が教えてくれた、このバーチャル仮想空間の中に幸子を縛りつけ二度と出れなくして自分達に無料接待を是非させたいと目論んでいたのだった。
また、勿論、その計画は、ついでに選んで閉じ込めた他の女性達にも適用されていたのだった。
15人のメンバーに賛同して加わった者達の多くには某タレントファンも多かった。
一番多かったのが、タレントOのファンだった。
Oの笑顔に幸子の笑顔がソックリだという意見でタレントOのファンの軍団がこの陰謀計画に挙って参加をしたのだった。
話は戻るが、さっきの伝言ダイヤル女性Aだが、いきなり初日大勢のアバターに囲まれ辟易してしまったが、皆がものすごく積極的に話しかけてきて何故?と思うくらい煽てまくってきたのでスッカリ気をよくしてしまって、それから毎日暇さえあれば、そこへ通うようになっていたのだ。
実は大きな恐ろしい陰謀計画が待ち構えていることも知らずに。
「君、俺の好みだよ」
とか
「好きだよ」
とか夢のようなホストみたいな女性を陶酔させる台詞を次から次へと沢山のアバターたちが伝言ダイヤル女性Aに囁いて来たのだった。
実はこれらの言動も全ては将来の大きな陰謀計画のための手段のひとつであったのだ。
一日も早くそれを実現させようと大勢の仲間達でバーチャル空間という媒体でアバターを使用しながら躍起になっていたのだった。
そうこうしているうちに幸子の温泉旅行の日が来たのだった。
待ち合わせは新宿の東口の某百貨店の前だった。