その頃、幸子のことをなんとしてでもバーチャル空間に閉じ込め我が物にせんとしていた軍団達は、無論、幸子が今日、新しく出会い系で知り合った女性と温泉地に向かっていることをとっくのとうに調べてしっていたのだった。
一番、ムカツキ、イライラしていたのは哲史だった。
「多分、俺その女も知っていると思うぜ、本当に舐めているなぁ、あの幸子とか言う女は相手が払ってくれれば、きっと誰でもいいんだぜぇ」
「お前が知っているってことは、その新しい幸子の女も接客業か何かってこと?」
とほかの仲間が問いかけると、
「絶対とはいえないが、俺が前に行ったことがある店の女のような気がするんだ」
と哲史が答えたのだった。
すると他の別の仲間がまた話に割り込んで来た。
「ちくしょう!いいなぁ、俺らがこんな場所で腐っている時に優雅に温泉かよ!!」
するとまた別のものまでが
「本当にそうだよなぁ、早くここに嵌ってくれて温泉なんかに行かなくなればいいのになぁ」
確かにその者が言うとおり、今、仲間が集まっている、このバーチャル空間は、人を惹きつけてやまないオーラのようなものを内側から発していた。
なので、ここに一度来た者は、外の世界よりここが好きになり嵌ってしまう可能性は充分ありえるのだ。
ただ、幸子だって、初めてこの空間に来た日は徹夜で遊んでいたのだからマンザラでもないはずだ。
ここが大好きになったのは、まず間違いないとみんな思っていたのだ。
だから、今日は温泉に行ってしまったが、温泉から戻ってきたらまたここに必ず連れ戻せると彼らはみんな信じきっていたのだ。
彼らの計画はそれだけではなかった。
出来たら、ここに自分達の手が届かないような憧れのスタートとかも呼びたいなとかも真剣に考えていたのだった。
この壮大なスケールの内容のバーチャル空間だったら、もしかしたら大物スターの心だって虜にできる可能性も高いとみな踏んでいたのだ。
そんなことを考えていた時だ、哲史がニヤニヤとこう言って来た。
「温泉なんかより、もっとすごいとこ行きてぇなぁ」
「それはどこだい?」