出会い系女性Cは、言われるままに先に温泉地の風呂場に行ったものの、一人温泉の風呂の中に入り、普通は一緒に温泉に行ったら一緒に入るものではないかなと思ったのだった。
そして、温泉の中でウットリするほど心地よい温もりの中で、ウトウトとしそうになったりしたのだった。
その頃、東京ではあの例の15人のメンバーとその後プラスされた仲間達は、いよいよ本格的な陰謀活動に取り掛かっていたのだ。
伝言ダイヤル女性Aを誘き出し、なんとかパスポートを盗み取ろうという所まで話が纏まったのだった。
もっともこの案を積極的に提案したのはあの哲史だった。
この哲史という男はこの伝言ダイヤル女性Aの店を知っており、そこで伝言女性Aに既に会っていた、だが、たいして好みではないと感じていたのだ。
なので、自分が気に入っている幸子と現在付き合いがあるという事をとても嫉妬していて小憎らしく思っていたのだ。
その為、パスポートを入手するなら、是非、あの女から・・・とまで思い立ったのだった。
しかし、ここでもある問題にぶつかったのだ。
それは、自分たちが誘って、果たして伝言ダイヤル女性Aがスンナリ着いてくるかという問題であった。
皆の答えは“おそらくNOだろう”であった。
それは、そうだ幸子のような土偶のはにわ顔、もっと悪く言えばウツボのような顔が好みだとしたら、自分らのようなちょっと風変わりな、表現の仕方によってはお化けチックな顔の男たちが声をかけたとしても絶対について来る訳などないのだったから。
だとしても、この計画を実行しないことには、念願の海外旅行もパーになるのだ。
他にも誰でもよければスリをうまくやれば成功をするかもしれない。
だが、哲史に言わせれば、絶対に伝言ダイヤル女性Aがよかったのだ。
どうしても、幸子に遊び相手に選ばれて、いい気になって舞い上がっている、伝言女性Aの出鼻をくじいてやりたかったのだ。
他の仲間も皆、同じ気持ちだった。
というか哲史に熱心に語られていくうちに説得され同じような気持ちになってしまったと言った方が正しいかもしれないが。
誘うのは俺たちじゃ無理だろう、と言う所まで話は纏まり、そこである者が急に新たな提案を起こしたのだった。
その提案は、な、なんとプロを雇おうというものだった。
一般人の同志以外のものに頼むのは情報漏れの原因になり、とても危なっかしい、だからプロだったら必ず秘密は守ってくれるからというのが理由だった。