それは、確かに道理が通った話だった。
そして、また別の者が今すぐにでも、これからでも頼めるようなその道のプロの知り合いがいるとまで名乗りを挙げたのだ。
もう何も迷う必要などないのだ。
あとは、ただ実行あるのみだった。
いつの間にか仲間のリーダー格となっていた哲史の鶴の一声が決め手になったのだ。
「なら、今、すぐ頼もうぜ!」
すぐに先程、その道のプロの知り合いがいると名乗りを挙げた者が、携帯を持ち出して、どこぞに連絡を取り出した。
これから、何かが変わっていくのだ。
幸子を手に入れるために、幸子の女の子同士のオママゴトを終わらせるために実行するのだと信念に近い思いで祈るような気持ちでそこに集まった皆はバーチャルの中なので実際の携帯は目にはみえないが、頭の中にその光景を思い浮かべながら見守ったのだった。
皆、金が必要なら貯金をいくらでも下ろすつもりだった。
伝言女性Aなら今回の幸子の旅行相手には選ばれておらず、暇なはず、その隙を狙って一気に攻め込もうという計画だった。
ただ、声をかけたら着いて来るように成る丈、伝言女性Aに声をかける人物は、美形の男にしてくれとお願いするのを忘れてはいけなかったが。
間違っても自分たちのようなお化けチックな顔の人物が声をかけると伝言女性Aが逃げてしまう可能性が高いので困るのだった。
話は意外にもスンナリと決まったらしい。
携帯をしまうと、先ほど名乗りを挙げた頼もしい仲間が、嬉しそうに仲間達にこう言った。
「今から、実行してくれるそうだ」
「おう、やったな!」
皆、口々に歓声の声を上げたり、口笛を吹いたりしたのだった。
伝言女性Aが毎日のように使用しているプロフィール出会い系に侵入して、偶然を装い声をかけ、彼女の望みどおりに一日を過ごし二人きりになった時なんとか隙をみて盗み出すという計画だった。
伝言女性Aはなぜかこの時、バーチャル空間にもくるにはくるが、メインの行動は飛んで火にいる夏の虫のように都内で毎日のように暇さえあれば出会い系をしていたし、身分証明書代わりにパスポートを持ち歩いていたのだ。
なぜなら、都内に多数ある無数のネットカフェは身分証明書がないと自分のカードが作れず、使用できない場所が殆どだったからだ、都内の中であちこち移動することが多かったため幸子にとってパスポートを持ち歩くことが必至になっていたのだった。