「まあ、それは大変ですねぇ」
幸子はとてもニコヤカに微笑みながらそう答えた。
出会い系女性Cは必死にウォーリーを絵本の中から探し出そうとしたが、あまりにも膨大な人数のウォーリーもどき達の中から本物のウォーリーを見つけ出すののは至難の技だったのだ。
気づけば、次第に額に冷や汗を掻いていた。
幸子はそんな出会い系女性Cの事をとても純粋で可愛い性質の子だと感じたのだった。
明日になればまた、家路を辿る事になるのだが、この先もまた、伝言女性Aと暇な時や寂しい時は是非、会いたいなと思ったのだった。
そしてやっと正真正銘の本物のウォーリー見つけ出した頃には夜も深々と更けだしていたのだ。
また、その時点でもやはり幸子は酒を浴びるように煽っていたのが印象的だった。
今でもその姿が鮮やかに脳裏に彷彿として蘇るのだ。
その酒は確かビールだったが。
沢山のビール瓶の山が詰まれたテーブルを隅に寄せると、そろそろよい時間だという事で二人は床についたのだった。
次の朝、朝ごはんを取り終えると二人は帰宅の準備を始めた。
その頃、例のバーチャル空間の中で15人とそれプラスの仲間達は、皆口々に幸子と出会い系女性Cを羨んで嘆いていたのだった。
「ちくしょう、俺らが湿気た街で腐っている時あいつ等は優雅に温泉旅行しているんだぜぇ!」
メンバーの中で何より哲史が一番、悔しげな様子だった。
仲間の一人が宥める様に
「まあ、まあ、パスポートの方は無事成功したことだし、悪いことばかりじゃないぜ、気を落とすなよ」
と元気付けたのだった。
「まだ、他にもやる事あったよなぁ、義男!」
まだ、機嫌が完全に戻らない口ぶりでいきなり哲史があまり気が合うとは思えない義男に言葉を切りつけたのはこのすぐ後だった。
「何を?あぁ、あの事かぁ」
義男が呟いた“あの事”とは紛れもなく前に皆の前で話したバーチャル空間に閉じ込めた選ばれた女性たちに施そうというある特殊な事の事だった。