その義男が言うある特殊な事とは、いったい何なのだろう?
考えれば考えるほど何だかゾッとしてくるのだ。
義男はまた得意の諭すような口ぶりで
「それはつまり、蘇生をさせるのだよ」
とまた訳のわからないようなおかしな事をバーチャル空間の中の皆の前で言い出したのだ。
蘇生とは即ち“蘇り”のことであろう。
いったい何が蘇るというのだろうか?
その時だった。
まるで義男のその台詞を遮るかのように哲史がこう言ったのだった。
「くだらねぇ!いい加減にしろ!俺は忙しいんだ!」
「僕は何もくだらない事など何一つ言ってはいないよ、蘇生を図ることで、ここに集められた女性達が必ず良い方向に迎えると僕は信じているのだよ」
またまるで静かに諭すように義男が哲史の乱暴なものいいに少しも動じることなく答えたのだった。
「いったい、何を蘇生するというんだ!」
その時、義男の顔が一瞬、ゾッとするくらい青白くみえたのだった。―とはいってもそれは例のバーチャル空間の中で各々が使用するアバターの顔色が変わっただけのことだったが。―
「僕らの愛しい者達だよ」
その義男の当然だと言いたげな発言にそこのバーチャル空間に居た者たちは皆凍りついたような感情に襲われたのだった。
「何かの映画に出てきそうな台詞だなぁ、まぁ、いい、その愛しい者達っていったい誰だ!そしてどうやってそいつらを蘇らすっていうんだぁ!あぁ!答えろ!義男!!」
だんだんと声が諍って来るのを哲史はどうする事もできなかった。
義男と自分の水と油とも言えるほどの感性の違いに苛立ちをどうしても抑えることができないのだった。
「僕はね、前々からこの時の為に色々と勉強や研究を重ねてきたんだよ、だからね必ず成功させる自信があるのだよ」
「ほう、ほう!」
義男の頼もしい発言に思わず感嘆の声を上げる者達も現れだした。