「ねぇ、あなたはいったい誰なの?教えて、誰だかわからないと私とても怖いわ」
ライラは真剣に恐怖心を抱きながら、体をガチガチと振るわせた。
無理もない、誰もいないはずの自室に得体の知れない人物が突如現れたのだ。
誰だって、ゾォッとする。
そして、その恐怖心は何が何だかわからないものの、これまたゾッとするほど美しい少女なのでまたその不気味さと併せ持って、異様なミスマッチ感が迫りくる畏怖の念にも似ていたのだ。
意味もなくブルブルと震えているライラに対して、その世にも美しい少女は、やがてこう言った。
「もうすぐ、幸子は死ぬわよ、うふふふふ・・・w」
「えっ!?」
幸子と言えば、最近はもう連絡が取れなくなっていたし、本人からも当分会えないと言われていた。
つまり、断られたばかりの状態だった。
まったく恨みがないとも言い切れないが、別に死ねばいいとまでは思っていなかったので、自分に関係ないはずなのに、色々と知っているといいたげなその妖しい侵入者の言葉にライラは得体の知れない恐怖心を抑えきれなかった。
「あなた何者なんでです!いきなり人の部屋に勝手に入ってきて、そんな失礼な話ってないわ、ひどいじゃないですか!!」
ついつい声を荒げてしまったのだ。
それは、現在の得体の知れない侵入者に対する恐怖心を吹き飛ばす為の懸命のもがきとでもいおうか。
その美少女は上品そうに自分の肩に片手を置くと薄笑みを浮かべ椅子に突然起こった出来事に対する恐怖に凍りついたように座ったままのライラを見下ろして嘲笑した。
そしてこう言ったのだ。
「私にとって幸子は邪魔なのよ、あなたもきっとわかってくれるはず・・・ねっ、そうでしょ」
「何が分かるというの?!あなたと私は今会ったばかりよ何も分かる訳ないわ!」
「なら、教えてあげるわ」
妖しく美しい謎の侵入者は、そう言うと突然姿をフッと消したのだった。
そして謎の侵入者が消えたと同時にライラの体が突然重くなったのだった。