“なんてこった、俺らがこれからこいつらを追い詰めて、滅茶苦茶にしてやろうって思っているのに、そうするまでもなくお互いが相殺しあっているな!”などと心の中で思っていたのだった。
滅茶苦茶にしてやる理由は言うまでもなく、幸子にはさんざんに奢らされ、いいようにあしらわれ捨てられた恨みと、伝言女性Aであるライラには、お金の恨みはなかったが、接客で働いて得たお金を幸子に使い尽くし、その金で幸子と二人で遊行して楽しんでいる姿を見せ付けられたという恨みがあったのだった。
この二人の女のことを米田は絶対に断固として許せないと思っていたのだ。
ユミコに対しては初面識だったので、特に何の感情も沸かなかったが幸子と話し合う中である以上警戒をしなくてはと思ったのだった。
そして、そう思っていたのは米田だけではなかった。
あの米田以外の15人とそれプラスの陰謀集団の全員が幸子と伝言女性Aの甚だ迷惑コンビを地獄の底へ突き落としてやろうと心底から思っていたのだった。
その怒りと憎しみは、さっきの幸子と新参者のユミコのチャンチャラおかしい戯言のやり取りの茶番劇程度では収まりきらないのは無理もなかろう。
皆、幸子に図書券やチョコレートボンボン、ラーメン、高級料理や大量の酒に洋服やアクセサリーまでかなり高額に使わされまくっていたのだ。
確かにライラは、パスポートをホテルで奪われていたりして、少し仕返しもできたが、やはりそれでも接客で得た金を武器にさんざん楽しそうに、あちこちで二人で見せ付けた罪はとても深かかったのだ。
自分たちだって、女性に生まれていたら接客で働いて幸子と遊べるのになぁと心から羨み妬んでいたのだった。
なので、簡単にはここから絶対に出してやるものかと例の陰謀集団全員が思っていたのだ。
米田が固く復讐を心の中で誓っている時、また義男の声が後ろでしたのだった。
もちろん義男が現れた場所は米田のパソコンがある自室だった。
相変わらず義男は半透明の上半身姿だった。
―そして、こうしている間にも幸子とユミコのヒステリー状態の言い合いは続いていたのだった。なんとユミコのアバターは幸子に思い切り蹴られたにも関わらず怪しげな念力の力によってまだ幸子の部屋に居座っていたのだった―
「あの子はすごいね、あの子も能力があるらしいね」
義男はユミコのことを米田にそう言うと米田は不思議そうに
「それはどういう能力なのかい?」