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平成19年11月2日作成
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次の場所はさっきのバーとは違いもっと照明が明るかった。

ハッキリまざまざと相手の顔がみることができた。

テーブルに座ると、少々煙の匂いがしたが、居心地はいたってよかった。

何よりも相手の顔がハッキリとみえ、テーブルとテーブルの間の感覚が広く、さっきいたバーより周囲を気にせず、二人だけの世界にはいれるような感じがしたからである。

音楽はなかったが、少し大きな声で話しても、すぐその内容がもれるはずはないと思ったのだ。

清潔感のある小ざっぱりした雰囲気も非常に好感が持てた。

その店は確かにカードが使えるようになっていた。

店に入る前に真っ先にそれを確認したので間違いない。

後ろのほうから、店のウェイターがオーダーをとりにやってくるのがみえた。

「塩タン下さい!あと、ユッケも、それからおビールジョッキでお願いします!」

非常になれた口調で幸子が注文をした。

「俺は水だけでいいっす、今ちょっと考え中なんで・・・」

涼の顔は少し青ざめていた。

予定外の出費に先が思いやられていたのだ。

このまま自分は何も口にするのを止めようか思っていたくらいだった。

そんな涼のことなどお構いなしで、ひたすら幸子はビールを呷り、焼肉類を頬張っていた。

そう、幸子は酒も好きだが焼肉も大好きだった。

特に塩タンには目がなかった。

涼はそんな幸子をじっくりと見据えながらこう思っていた。

このまま別れたら、これだけ使った金がもったいねぇなぁ。

しばらくつき合わせてもらわねぇとなぁ。

そして涼は、幸子にこういったのだ。

「また、会ってもらえますか?俺と」

幸子はすかさずこう答えた。

「ええ、もちろん!また焼肉食べに行きましょうね!」

その言葉の内容だと嬉しいといってどうかはわからなかったが、とにかく拒否はされなかっただけでもよかったと涼は思ったのだった。

明るい照明の中でクッキリと浮かび上がった幸子のその顔はハニワが面長に伸びたような人相であった。さらに付け加えるならば、目は切れ長であった。

特に際立った特徴のない顔であったが、化粧をすればそれなりに映えたのであった。

どうであろうと、涼はこれまでに支払った元だけは自分の面子にかけても取り戻したかったので、顔が好みだとかそうじゃないとかはこの際どうでもよかったのだ。

幸子はそんなこと気にも止めない感じで血の気が引いたような面持ちの涼の目の前で何倍もビールのジョッキをお代わりしていた。

それから、その焼肉店で幸子は今宵のパートナー涼に自分の将来の夢を語ったりしたのだ。

幸子の将来の夢は小説家になることだった。

 

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